地域や企業内での課題を大学とともに解決する場合、依頼者が研究費を負担して大学研究者と共同で研究する「共同研究」と、大学研究者に委託して研究する「受託研究」の2種類の方法があります。ここでは両者を比較しながら説明します。

共同研究

まず「共同研究」の特徴は、依頼者、研究者(大学)が研究費を共同で負担し実施するもので、お互いに研究施設を使用することができます。

なお、共同研究には以下の三つの形態があります。

(1)学外機関等から研究員及び研究経費等を受入れて、本学の職員が学外機関等の研究員と共通の課題について共同で行う研究。

(2)本学及び学外機関等において、共通の課題について分担して行う研究で、本学において、学外機関等から研究員及び研究経費等、又は研究経費等を受入れて行う研究。

(3)本学及び学外機関等において、共通の課題について分担して行う研究で、研究経費等の受入れがないもの。

次に「共同研究」の研究費は、直接研究費と間接研究費に分けられます。直接経費は、研究のために使用される経費であり、間接経費はインフラ等の維持整備費および管理費です。共同研究の研究費は「直接経費+間接経費(直接経費の30%(R2年10月より))」となっております。なお、共同研究(3)では、研究経費の受け入れはありませんが、知的財産の取り扱い等を鑑み、共同研究契約の締結は必要です。

詳細は、「共同研究」をご覧下さい。

また新たに「共同研究講座・共同研究部門」制度が設置されました。

受託研究

次に「受託研究」ですが、これは外部から委託を受けて公務として大学において行う研究であり、これに要する経費全額を委託者が負担するものです。「受託研究」の研究経費は直接経費+間接経費(直接経費の30%)となっております。

いずれも知的財産の取り扱いは契約書で取り決められ、研究成果の非公開も可能です。

詳細は、「受託研究」をご覧下さい。

また研究費は、法人税の研究費処理が可能です。詳しくはご自身の税理士にご相談ください。

奨学寄附金

一方、共同研究・受託研究以外に「奨学寄附金」という制度があります。

この奨学寄附金は、本学が学術研究や教育の充実・発展のために受け入れる民間企業や公益法人等から受け入れる寄附金であり、受入年度を越えて使用でき、寄附の趣旨に沿って教育研究上必要な使途に幅広い使用が認められています。
しかし、奨学寄附金には知的財産の取り扱いや秘密保持の契約がないため、奨学寄附金による研究成果(科学的データ、知的財産権等)に対しては寄附者に権利が生じません。また奨学寄附金による研究成果(科学的データ、知的財産権等)を寄附者に供与(寄附者に無償で使用させ、または譲与すること)すると、研究の公明性や独立性を欠き利益相反及び税法上の問題が発生する恐れがあります。さらに寄附者が当該奨学寄附金による研究に関与すること(大学の研究設備を使用すること)も、同様に利益相反となる恐れがあります。
ついては、寄附者への研究成果の供与が見込まれる場合は、共同研究や受託研究などの制度をご利用願います。

共同研究・受託研究・奨学寄付金比較表

共同研究 受託研究 奨学寄付金
趣旨 大学の研究者が学外機関等の研究者と共通の課題について共同で取り組むことにより、優れた研究成果を期待できる場合に、相互の研究者や研究経費、研究設備等を出し合い、大学の主体性のもとに共同して研究を行うものです。 大学において外部から委託を受けて公務として行う研究で、これに要する経費を委託者が負担するものです。 大学が学術研究や教育の充実・発展のため、民間企業や公益法人等から受け入れる寄附金です。
研究場所・施設等の利用 利用可 不可 不可
研究期間 契約書に記載の期間 契約書に記載の期間 なし
報告書の作成義務 実績報告書作成提出義務あり 研究成果報告書作成提出義務あり なし
知的財産の取扱い 契約書による 契約書による なし
秘密の保持 非公開可 非公開可 なし
受入れの制限 なし あり
当該研究が大学の教育研究上有意義であり、本来の教育研究に支障を生じる恐れがないと認められる場合に限り行うことができます。
あり
第3条 奨学寄附金の受入れに際して、次の各号のいずれかに掲げる条件が付されているものについては、受入れることができない。(1) 奨学寄附金により取得した資産を寄附者に無償で譲与すること。(2) 奨学寄附金による研究の結果、特許権又はこれに準ずる権利が生じた場合、これを寄附者に無償で使用させ、又は譲与すること。(3) 奨学寄附金の使用について、寄附者による会計監査が義務づけられているもの(4) 奨学寄附金を受入れた後、寄附者が自己の意思により奨学寄附金の全部又は一部を取り消すことができるもの
税制上の優遇措置 法人の場合:特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除される場合あり 法人の場合:特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除される場合あり 法人の場合:全額「損金」算入

なお,特別試験研究費税額控除制度につきましては,経済産業省の特別試験研究費税額控除制度ガイドラインをご参照ください。

 

サイト内検索