「IoT先端農業実証ラボ」は,南西諸島域の基幹産業であるサトウキビに焦点をあて,奄美群島中最大の耕地面積(6,890ha)を有する徳之島に設けられたサトウキビ産業高度化研究事業の推進拠点である。2019年2月,徳之島3町役場の協力を得て,徳之島町花徳地区,天城町西阿木名地区,伊仙町上面縄地区のサトウキビ圃場にフィールドサーバを設置した。また2019年3月には,徳之島内の3町役場の窓口に「IoT先端農業実証ラボ拠点」としてIoTクラウドモニタを設置し,町民や役場職員,生産関係者が自由にフィールドサーバの気象・画像データを閲覧できるようにした。さらに徳之島以外の南西諸島域のサトウキビ生産者等からもフィールドサーバの情報を利用して生産管理・生育状況の比較検討を行い今後の経営で利用したいとの要望を受け,2019年度より喜界島,奄美大島,沖永良部島,与論島,種子島の関係機関,JA,製糖工場と共同研究契約を締結し,徳之島のフィールドサーバ・人工衛星データを自由に閲覧できるようにした。今後,サトウキビの農業政策全般から生育状況の把握,生産管理から工場の効率的・計画的な稼働まで,幅広くフィールドサーバデータおよび人工衛星データが利用されることを期待している。
2021年度は,サトウキビの成長に影響を与える太陽光について,これまでの日照計(紫外線と照度)による計測に加え,日射計と光量子計を設置し(伊仙町フィールドサーバ),測定を開始した。またIoT先端農業実証ラボセミナーを12月に開催し,リモートセンシングとモデリングによるサトウキビ圃場の情報活用について情報共有を行なった。さらにこれまでの実証試験の結果をもとに,実証フィールドを沖永良部島,喜界島に広げ,新たなプロジェクトを開始した。加えて徳之島実証フィールドでは,未利用肉の高付加価値化実証プロジェクト(闘牛肉,リュウキュウイノシシ,放牧牛)を推進した。

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