研究代表者

工学部 准教授 熊澤典良

地域課題および目的

研究の背景・地域課題

県内離島の基幹産業は製糖業であり,島内の作物別作付け面積率の半分以上はさとうきびである.製糖量の増量が生産性を上げることになるが,製糖工場の処理能力に見合う一定量のさとうきびの確保することと,より甘蔗糖度の高い原料の収穫を同時に達成することは難しい,

目的

圃場整備・植え付けから精製糖の出荷に至るまでを一連のプロセスと捉え,低コスト・省力化・生産性の向上に寄与するIoTシステムを確立し,その基本技術もしくは応用の社会実装が本研究の目的である.

研究の方法

本研究では,本県離島の徳之島および喜界島における製糖業をターゲットとする.徳之島では,高糖度のさとうきび育成のために,研究会メンバーの南西サービスが実施する「圃場カルテ」に対し,研究代表者が実施してきた高精度測位による「圃場面,標高,高低差」等の情報を適切な形で提供できるシステムを構築する.構築するシステムの核となる部分はこれまで継続して実施してきた研究で完成しているので,圃場カルテとのデータの連携およびインターフェイスの開発が主となる.喜界島では,R2年度にGPS単独測位により計測したデータを解析し,ハーベスタによる「収穫」および圃場間の「移動」のバランスを適切にする解を導出する.求めた収穫工程を現場視点でシステム化し,R3年12月からの収穫での実証試験を計画する.申請している研究費は,主に実証試験およびそれに用いる機器のカスタマイズ(センサ・部品等の追加・修正)に充てる予定であり,研究室の大学院生にシステム構築におけるプログラム開発を補助して貰う(申請のアルバイト代).

2021年度の研究成果

本年度は,IoTモジュールをさとうきびハーベスタからトラクターに移設して実験を実施した.より過酷な使用によって,試験機の1台のアンテナケーブルおよび電源ケーブルは破損して計測不能な状態になっていたため,機器の取り付け方法および取り付け位置の検討は今後の課題である. IoTモジュールにより得られた測位データを可視化する3Dプログラムはチューニングされて,操作性および視認性はより高まっった.

 

今後の展開

今後は大手企業とタイアップして,営農支援システムへの本機能の組み込みをアピールしていく.本システムには,未成熟な部分も多いが,基本的な部分は安定動作しているし,長期の実証実験によるノウハウが売りである.

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