研究代表者

水産学部 准教授 加藤 早苗

地域課題および目的

① 水産物の有効活用ならびに差別化のための試作品製造

② 試作品の官能評価を合わせて実施できる体制作り

③ 試食会の開催(特定施設を想定しているが、コロナ対応で変更の可能性あり)

研究の概要

令和元年12月から実施した産学・地域共創センターの食品加工部会(水産部門)で、島嶼域を含む県内漁業者からの聞き取り調査の結果、漁獲物の減少(例えば、トビウオ等)による水産加工品の製造危機や、漁獲量過多のために市場に卸せない鮮魚(キビナゴ等)の加工品試作のニーズが高いことが明らかとなっている。そのような漁獲資源を食品として有効に活用するために、地域とのコミュニケーションを促進し、地域のニーズにあわせた試作品作りの環境を整備する。

期待される成果

南九州地域は漁業の一次産業が盛んであるが漁獲量は各年で異なり、原材料の量と質の変動に柔軟に対応した水産加工品製造や、他県産との差別化を図ることが求められている。本取組は、島嶼域を含む県内の漁協および食品企業からの試作品の作製ニーズ、および、官能特性を売りにした製品開発のニーズに迅速に対応するために、水産物加工品の試作における環境の整備をおこなう。さらに、ニーズの把握のために地域とのコミュニケーションを促進し、それぞれの抱えている問題点や差別化について意見交換をする。実際に試作品の開発を通して、地域に開かれた環境体制を整える。

大学のコロナ対応方針にもよるが、姶良・伊佐地区の給食施設連絡協議会と共同で、特定給食施設等での試食普及活動を通して、地域とのかかわり方を考える。これらの活動は、ホームページ等で広報する。

2020年度の研究成果

申請時に予定していた3点について、下記の通り、一定の成果を得た。
① 水産物の有効活用ならびに差別化のための試作品製造
a. キビナゴの有効利用のために甑島で打ち合わせを行い、現在、民間の漁業生産者、薩摩川内市役所と令和3年度の産学官事業策定について検討中である。
b. 焼酎の差別化のため、香りと呈味成分の濃い製品の製造方法、および水産物への添加効果を検討中である。
c. 垂水カンパチの地域ブランド化に向けて、当初予定していたメンバーに加え、垂水市漁業者と水産学部内の水産経済系の教員とともに生鮮魚流通の最適化について、官能評価や成分分析を行った。
② 試作品の官能評価を合わせて実施できる体制作り
水産学部内の食品生命科学実習工場の建屋に新たに品質評価室を設置し、物性の測定や試食会で必要な機材を揃えることで、官能評価を含む品質評価の実施体制ができた。
③ 試食会の開催
a. キビナゴの加工については、次年度の産学官事業に向けて、栄養士会を通した栄養評価・献立化などの計画が進行中である。(コロナで計画の中断の可能性あり)
b. 焼酎の試飲会は2回開催した。(コロナ禍のため、関係者のみで実施した)
c. カンパチについては、水産学部の教職員と学生の約70名による試食会を開催した。

今後の展開

①研究成果の更なる社会実装化の計画
実習工場の利用規則を制定し、地域社会への利用促進を図る。
②オープン実証ラボへの発展可能性や予定
キビナゴの県内給食施設への利用促進を策定している。
③外部予算獲得
共同研究を来年度も継続する予定でいる。
新たな外部資金については申請中である。

 

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